ハーバード留学/研究員記録

純国産(純ドメ)の日本男児。 総合商社でアメリカ、中国の投資の仕事をしてきた後、 ビジネスと政治経済の融合を目指してハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School)に留学。 修士課程を卒業した後、現在は同大学の研究員として中国にて現地調査中。 アメリカや中国で感じることについて書いていきます。

国際政治経済

ハーバード研究員が見たリアル・チャイナ (8)

上の写真にある通り、中国で広く普及している原付バイクに乗る人は、ほとんどヘルメットを被っていない。おそらく9割以上の人が、ノーヘルでバイクに乗っている。 「なぜヘルメットを被らないのですか?危ないと思います」と尋ねると、「だって面倒くさいし…

ハーバード研究員が見たリアル・チャイナ (7)

上の写真は、筆者が大好きな「揚州チャーハン」と呼ばれる上海周辺で好んで食べられているチャーハン。黒胡椒のシンプルな味で、悠久の歴史の中で結局長く愛される食事と言うのは、シンプルに美味しいものであると実感する。前述の通り、中国金融システムは…

ハーバード研究員が見たリアル・チャイナ (6)

アングラ金融に加えたもう一つの中国金融システムの問題点は、「理財商品」と呼ばれる銀行の窓口で販売される高利回りの預金性商品。むしろメディアでは、こちらの理財商品の方がシャドーバンキングの震源地として報道されることが多い。時はさかのぼり、真…

ハーバード研究員が見たリアル・チャイナ (5)

ナニワ金融道の世界。筆者が中国のアンダーグラウンド金融を知れば知るほど、その実態が昔愛読したナニワ金融道の世界に酷似していることに気が付く。アングラなだけに正確な統計はないが、多くの専門家は中国の融資総額の30%前後は、当局が把握していない違…

ハーバード研究員が見たリアル・チャイナ (4)

温州は海沿いの街であり、名産料理は海鮮(シーフード)。地元の名士に紹介して貰った、「安くてうまい」海鮮料理屋で夕食を取ることにした。確かに安いが、これぞ中国という風情の店。イケスに入った魚介類を選ぶと、店員がその場で調理して持って来てくれ…

ハーバード研究員が見たリアル・チャイナ (3)

温州はチャンスと自由があるポジティブな面を持つと共に、いま中国が抱えるネガティブな面も同時に合わせ持っている。と、その話に入る前に、そもそもなぜ筆者がハーバードの研究員として、中国に来ることになったかの話をご紹介したい。 「中国という魔法の…

ハーバード研究員が見たリアル・チャイナ (2)

倭寇の歴史も大きく影響しているはずと推測できるが、温州は中国のユダヤ人と通称される「温州商人」の出身地である。実は日本を初め外国に来ている中国人は、その非常に多くが、温州を初めとして上海から南に1000キロほどの沿岸部(浙江省、福建省、広東省…

ハーバード研究員が見たリアル・チャイナ (1)

ここは中国は浙江省の温州市。今回は筆者自身の研究をご紹介させて頂きます。 秋になったにも関わらず照りつける太陽、温度は30度を超えている。ジャケットを脱いでも、シャツに染み透るほどの汗。周囲で話される言葉は、中国語の普通語ではなく、地元の温州…

日本で忘れられた「地政学」という言葉

欧米では広く意識されていながら、あまり日本では浸透していない言葉のひとつに地政学(geopolitics)がある。筆者は今後日本において、地政学の必要性が飛躍的に高まると予想している。 地政学の学問的定義は、読んで字のごとく「地理学」と「政治学」の融…

尖閣問題でアメリカの姿勢が中途半端な理由

尖閣問題で、アメリカの姿勢が煮え切らないと感じている方は多いのではないだろうか。日本政府が尖閣は日本領だと主張している以上、同盟国として日本に同調して「尖閣は日本領だ」と言って然るべきと感じるところ、アメリカ政府は領土の帰属は判断を保留に…

ソフトパワーという名のイノベーション

先の投稿「セクシープロジェクトで差をつけろ」では、アメリカ的価値観であるリーダーシップ、イノベーション、アントレプレナーシップは、分野の垣根を越えて考えると共通した能力として捉えられるという見方をご紹介した。 それが技術志向のものか、ビジネ…

ハーバードを卒業したら、警察官になります。

私はハーバード大学(学部)を卒業した後に紆余曲折を経て、ニューヨーク市警の警察官として、ブロンクスを安全な場所にするために毎日働いています。幸運にもケネディスクールに入学し、再び学ぶ機会を得ましたが、本日の卒業式後、週明けの月曜日からは職…

遂に上海でフェイスブック、ツイッター本格解禁か

数日前の投稿「中国への誤解(海外情報は完全統制されている?)」にて、VPNを経由して、既に中国本土でも事実上フェイスブックやツイッターが利用できるようになっていることをお伝えした。 本日付けの香港紙South China Morning Postは、今月末に新しく設…

ハーバードで語るアメリカの東アジア戦略(3)

前々回の投稿「ハーバードで語るアメリカの東アジア戦略(1)」では、現在のアメリカにおいては、これまでの冷戦システムと日米同盟についての見直し論が出ていることをご紹介した。筆者が実際に接したアメリカ人の中には、かなりあからさまにチャイナシフトし…

ハーバードで語るアメリカの東アジア戦略(2)

前回の投稿「ハーバードで語るアメリカの東アジア戦略(1)」では、アメリカにとって、日本のステディとしての立場が盤石ではなくなってきていることをご紹介した。冷戦の終結と、中国の台頭が不可避的に、日米関係の見直しをも迫っている。 アメリカとの良好…

ハーバードで語るアメリカの東アジア戦略(1)

誰もがアメリカの戦略に注目している、といって過言ではない。特に、日中対立については、グローバルテーマとなっているため、アメリカにとって「対岸の火事」ではなく、紛れもなく当事者としての判断を行っている。 日本語のメディア、あるいは中国語のメデ…

ロスト・ヒストリーを取り戻せ

筆者はハーバード留学中に、他の日本人留学生の方と共に、エズラ・ボーゲル名誉教授の個人塾にて指導を受けた。ボーゲル先生は1979年に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という伝説のベストセラーを出版され、一世を風靡したハーバードの著名教授。実はご専…

東京オリンピック2020で、日経平均3万円?

2020年東京オリンピック開催決定を経て、日本株を買う動きが出てきている。筆者が見た中で最も勇ましい解説記事は、日経新聞電子版に9月4日に掲載された「五輪招致成功で日経平均3万円の可能性」という記事である。(全文閲覧には会員登録必要)タイトルか…

中国経済はダメになるのか?

中国経済はダメになるのか?と良く質問を受ける。中国にネガティブな印象を持たれている方からは、中国経済は「やっぱり」ダメになるのか?と質問される。ネガティブなバイアスを持っている人々の方が、知りたい意欲が高いため、結果としてメディアに溢れる…

中国への誤解(海外情報は完全統制されている?)

最近5年程は、日本、アメリカ、中国でそれぞれ同じぐらいずつ過ごしている。その中で最も顕著に感じる中国への誤解は「情報統制」についてである。中国に住んだことのある人ならばご存知の通り、中国のメディア(新聞やテレビ)は中国政府の検閲を受けている…

ハーバードのチャイナパワー

ハーバード大学が発表しているFactbookによると、2010年度の同校への留学生の国籍別の在校生数は、全てのスクールを通算して日本が100名であった一方で、中国は541名となっている。シンガポールからも133名の留学生が在籍しており、その大半は華僑と判断され…

留学のきっかけ(ヘッジファンドの助言)

アメリカに留学する日本人は、さまざまな動機の人々がいる。シリコンバレーのITベンチャーに刺激された人、大学の研究者として科学や工学の最高峰を極めたいと考える人、ビジネススクールを卒業してコンサルタントや経営者を目指す人、アメリカのカルチャー…