ハーバード留学/研究員記録

純国産(純ドメ)の日本男児。 総合商社でアメリカ、中国の投資の仕事をしてきた後、 ビジネスと政治経済の融合を目指してハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School)に留学。 修士課程を卒業した後、現在は同大学の研究員として中国にて現地調査中。 アメリカや中国で感じることについて書いていきます。

ロスト・ヒストリーを取り戻せ

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筆者はハーバード留学中に、他の日本人留学生の方と共に、エズラ・ボーゲル名誉教授の個人塾にて指導を受けた。ボーゲル先生は1979年に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という伝説のベストセラーを出版され、一世を風靡したハーバードの著名教授。実はご専門は日本に加えて中国であり、直近で「鄧小平」という大著を出版され、これもベストセラーとなっている。昨日東京でボーゲル先生を囲んでの懇親会に参加してきた。

  

ボーゲル先生は、「日本と中国の対立をすごく心配している」と強調されていた。日本と中国に多くの友人を持ち、どちらの国にも愛着のあるボーゲル先生の思いは察するに余りある。

日中の対立は、これまでの歴史、新しいパワーバランス、政治経済情勢が絡んだ複雑なテーマである。アメリカを含めた日米中が世界の三大国であることを考えれば、グローバルテーマであることは間違いない。この難しい状況を、どう日本は解決するつもりなのか、かつてないほどに日本のリーダーシップが注目されている。

 

ボーゲル先生が興味深いことを 仰っている。「1979年改革開放以降の日本と中国の経済協力の歴史を強調するべきだ」と。

あまり知られていないが、中国は日本の技術支援や政府援助を通じて経済発展を実現し、また日本も中国との分業によって企業の海外生産体制の効率化を進めてきた友好の歴史が30年以上ある。こうした直近のパートナーシップの歴史が、まさにロスト・ヒストリーとなっている。

 

ググってみれば分かる通り、昨年の尖閣暴動以来、日本語メディアにおける中国関連情報は、まるで戦前のメディア情報と見分けがつかないほどのクラシック調になっている。これは中国語メディアも同様であり、両国共に対立色を煽る古色蒼然としたキーワードばかりが目立っている。ただ評論家調の情報や、ネット過激派の投稿は氾濫しても、解決のための具体的な方法はなかなかないものだと感じていた。

 

そんな中で、両国の記憶からすっぽり抜けた「ロスト・ヒストリー」を取り戻す発想に、インスピレーションを得た。というわけで、昨日からロスト・ヒストリー・プロジェクトをどう実現すれば良いか考えている。夫婦ゲンカの最中に、新婚旅行の写真を持っていって見せるようなイメージ、、、だろうか。相手が切れている場合、それはそれでリスクがあるかもしれないが、問題があって、解決が必要なら、とにかく何かを試していく必要があると感じている。