ハーバード留学/研究員記録

純国産(純ドメ)の日本男児。 総合商社でアメリカ、中国の投資の仕事をしてきた後、 ビジネスと政治経済の融合を目指してハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School)に留学。 修士課程を卒業した後、現在は同大学の研究員として中国にて現地調査中。 アメリカや中国で感じることについて書いていきます。

遂に上海でフェイスブック、ツイッター本格解禁か

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数日前の投稿「中国への誤解(海外情報は完全統制されている?)」にて、VPNを経由して、既に中国本土でも事実上フェイスブックやツイッターが利用できるようになっていることをお伝えした。

 

本日付けの香港紙South China Morning Postは、今月末に新しく設定される「上海自由貿易試験区」において、遂にフェイスブック、ツイッターが全面解禁される可能性を報道している。

この「上海自由貿易試験区」は、多くの日本人には聞きなれないフレーズと思われるが、李克強首相の改革プラン、通称リコノミクス(どこかで聞いたことのある響き、、、)の目玉となっている自由化計画であり、第二の香港を中国本土、上海に作るという壮大なプランとなっている。

試験区の場所は、上海郊外の沿岸部(車で30分程度)で当初設定されるが、いずれは区域を拡大していき、高層ビルが立ち並ぶ中心街の浦東新区も含まれる見込みとなっている。この計画、先月に中国国務院(内閣に相当)常務会議で承認され、今月末に設立されるという、いかにも「見切り発射」の中国らしいスピード感の計画である。早過ぎるが故に実行段階で、運用規則が定まっていないことが頻発する、、、

 

筆者個人は、中国の未来を見通すうえで、この上海自由貿易試験区に非常に注目している。名称から想像される通り、経済分野での自由化の進展も数多く予定されており、とりわけ外資企業が中国本土に投資する上での多くの障害が取り払われる予定である。

経済分野に加えて、ある意味それ以上に注目される点は、この試みが政治や言論分野の自由化をどこまで進めていくのか、という点である。香港は「一国二制度」を取っており、中国本土とは比較にならないほど、欧米並みの自由社会を実現している。第二の香港と言うからには、上海については政治分野の自由化が避けては通れないと考えるのが自然だろう。(そうでなければ、わざわざ香港から上海に移転する理由は薄いだろう。)

フェイスブックやツイッターの解禁は、そうした方向感の一環と見ることができる。もし上海でうまくいけば、長い目で見れば、上海の自由化成功の結果として、中国全土の自由化を段階的に進めていくことを見込むことができる。

 

実際には多くの障害が存在し、実行段階ではリコノミクスは正念場を迎えると予想されるが、中国の発展と自由化に向けて、李首相のリーダーシップに期待したいと思う。