ハーバード留学/研究員記録

純国産(純ドメ)の日本男児。 総合商社でアメリカ、中国の投資の仕事をしてきた後、 ビジネスと政治経済の融合を目指してハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School)に留学。 修士課程を卒業した後、現在は同大学の研究員として中国にて現地調査中。 アメリカや中国で感じることについて書いていきます。

ハーバードの最強語学プログラム (2)

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ということで、妙ないきさつから「上級ビジネス中国語」を履修することになった。ハーバードの学部では授業に使用する教科書は、COOPと呼ばれる生協で購入することになる。

 

ちなみにCOOPには教科書だけでなく、壮絶な数のハーバード・グッズが販売されている。野球帽、Tシャツ、子供服、ボールペン、マグカップ、ゴルフボール、あらゆる商品にハーバードのロゴがプリントされ、全て購入すれば部屋の中は「ハーバードロゴ」だらけという生活が、したくはないが、することができる。

驚くことにアメリカ人たちは、まるでボストン・レッドソックスの野球帽を買うかのように、ハーバードの野球帽を買い、そのままかぶって街を闊歩している。筆者はいままで東京で、一度も「東大」や「早稲田」と書いた野球帽をかぶった日本人と遭遇したことはない。これは大きな文化の差だが、アメリカ人にとって自分が卒業した大学は、応援する野球チームのようなものなのかも知れない。

 

話が逸れたが、COOPで購入した上級ビジネス中国語の教科書を家で開いてみた。25ドルほどの標準的な値段の語学本である。教科書の筆者はハーバードの中国語インストラクターと書いてある。また、登場人物はハーバードビジネススクールのアメリカ人学生で、その彼が夏休み中に上海にインターンシップに行くという設定の物語調であった。

教科書を開いてそのレベルを知り、また授業のスケジュールを見比べてみて、やはり予想はしていたものの、恐ろしい絶望感に襲われた。とにかく難易度が非常に高く、そして進度が異常に早い。

一週目の課題として設定されている教科書の第一章「健康器具の拡販」というタイトルの中身を見てみると、「健康器具の拡販のために、上海の博覧会に参加したインターン生のデービッドは、コンサルティング会社のプロジェクトマネジャーと共に、中国現地の消費者の調査と、販売代理店との交渉準備に取り掛かった。」という内容から始まっていた。

なにこれ?!ビジネスレベルで使う中国語と何も変わらない。(授業のタイトルからして当たり前かも知れないが、、、)

また、恐ろしいことに、文章(会話文主体)の後に、新出単語が掲載されていたが、一章あたり350~400語はあるだろうか。繰り返すが、一章は一週間の分量である。これだと一日50語以上の新出単語を覚えるという極めてハイペースということになる。絶望感と同時に、ここはやはり恥を忍んで、中級に下げて貰うよう申し出をしに行こうかと考えた。

このままだと、中級は一時の恥、上級は一生の恥(=卒業できない)になる可能性が高い。とりあえずは上級ビジネス中国語に一度出席の上で、インストラクターに中級への引き下げを懇願しに行こうと決めた。

 

上級ビジネス中国語は、ケネディスクールやビジネススクールなどの社会人向けの学校とは正反対、学部生向けの敷地内の語学棟で行われている。ケネディスクールからは徒歩20分以上も歩かなければならない。語学棟というので立派なレンガ造りの建物を想像して歩いていくと、突然プレハブ作りの質素な建物が目の前に現れた。

Googleマップで改めて確認してみる。どうやら、間違いないようだ。足を踏み入れるとプレハブ特有の音、足下がギシギシする。中国語の履修希望者が急増して、レンガの建物の供給が追い付かないのだろうか。

建物の中は、20歳前後の若き大学生でごった返していた。ここに来て、改めて自分の年齢を痛感することになり、更に後悔の念がよぎる。自分よりも一回り年下のクラスメイトの前で、これから散々恥をかくことになるのか、、、と、戦う前から敗戦モードのやるせない気持ちになった。

いや、ここで心が折れてはいけない。世界に習志野ナンバー(筆者の出身地)の素晴らしさを伝える責任が自分にはある、と気持ちを鼓舞して教室に入った。

 

教室に入るなり、普段は出さない声の大きさで「ニーハオ」と言ってみた。繰り返すが、語学棟の中では英語は禁止である。教室には筆者よりも先に到着していた大学生が2人いた。ひとりはスラッとしたアジア系のイケメン。もうひとりはビルゲイツをもう少しコンピューター好きにしたような白人の男子学生であった。

 
以下、 「ハーバードの最強語学プログラム (3)」へ続く。

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