ハーバード留学/研究員記録

純国産(純ドメ)の日本男児。 総合商社でアメリカ、中国の投資の仕事をしてきた後、 ビジネスと政治経済の融合を目指してハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School)に留学。 修士課程を卒業した後、現在は同大学の研究員として中国にて現地調査中。 アメリカや中国で感じることについて書いていきます。

海外ビジネス

ハーバード大学は巨大投資ファンド(5)

最近、日本独自の国防力についての議論が、活発に行われている。これまで日本にとってのセコムとして、呼べばすぐに来てくれたアメリカ、あるいは24時間、門の前で守衛をしてくれていた(かも知れない)アメリカ。 そのアメリカの国家戦略に変化が生じている…

ハーバード大学は巨大投資ファンド(4)

続いて、ハーバードは「大学」として、どういった体制で、どういった対象に投資を行っているのかについてご紹介したい。最大の特色は、「ハイブリッド・モデル(リンク先ご参照)」と呼ばれる体制である。ハイブリッドとはハイブリッドカーが、ガソリンと自…

ハーバード大学は巨大投資ファンド(3)

ハーバード大学=日本の大学+三菱商事筆者がこう表現すると、「ハーバードが三菱商事??」と、違和感を持たれる方もいらっしゃるかも知れない。三菱商事は教育機関ではなく、総合商社である、と。しかし、詳細にハーバードのことを調べていった結果、筆者…

ハーバード大学は巨大投資ファンド(2)

大学でありながら、ハーバードはいかにして3兆円もの資産を持つに至ったのか、週刊誌的な大学特集では見えてこない「巨大投資ファンド ハーバード」のコア部分について、更にご紹介させて頂きたい。ハーバードの資金運用の特色は一言で、「グローバル分散投…

ハーバード大学は巨大投資ファンド(1)

ハーバード大学は一般に、日本の大学同様に研究と教育に取り組む機関であると理解されている。但し、決定的に異なる機能を持っていることは、余り知られていない。ハーバード大学は、アメリカでも有数の投資ファンドの機能を持っている。日本がアメリカから…

早稲田大学に見る日本の未来(3)

このテーマ3回目、最後の投稿は、「create something new」について。早稲田大学のイベントでも、繰り返し、事業でも商品でも研究でも、新しいことに挑戦することの重要性を話しました。成熟社会を迎えた日本において、「新しいことへの挑戦」は特に重要です…

早稲田大学に見る日本の未来(2)

居並ぶ40~50人の早稲田の大学生。真剣な眼差し。依頼主K君から「おまえの生き様を語ってくれ」と言われているので、完全白紙のキャンバス状態、、、完全フリーな反面、テーマが決まっている中で原稿棒読みするよりも、遥かにハードル高く感じます。どうして…

早稲田大学に見る日本の未来(1)

大学時代からの盟友で、現在人材コンサルタントとして、企業の採用活動や大学のキャリア教育の最前線で活躍しているK君から声を掛けられて、早稲田大学の大学生と語る機会を得ました。K君は大学生の頃から、10数年来同じテーマを追い掛け続け、今では業界で…

リアル・チャイナとジオポリティクス(10)

筆者がこれまで経験してきた国際交流のキャッチフレーズは、言うなれば「みんなと仲良くなって平和な世界を作りましょう」であった。これは世界が理想状態にあり、性善説を前提にしたものだと思う。 しかし理想の世界ならば、警察はいらないし、アメリカ軍は…

リアル・チャイナとジオポリティクス(9)

筆者が体験したもう一つの中国の側面、「人民日報や中央電子台を信頼する一般庶民」もご紹介したい。人民日報(新聞社)や中央電子台(テレビ局)とは、日本でいえばNHKをより国営放送にしたような新聞とテレビである。厳しい政府の検閲の結果、流されている…

リアル・チャイナとジオポリティクス(8)

以下、「リアル・チャイナとジオポリティクス(9)」へ続く。> このブログの記事一覧へリンク

リアル・チャイナとジオポリティクス(7)

以下、「リアル・チャイナとジオポリティクス(8)」へ続く。> このブログの記事一覧へリンク

リアル・チャイナとジオポリティクス(6)

筆者は淡々と孫文のプレゼンを進めていった。孫文がとても日本びいきであったこと、孫文には日本人の妻がいたこと、またそもそも中国の近代化において、政治、社会、経済、革命、共和国、民主主義や共産主義など日本から逆輸入された多くの漢字が使用され、…

リアル・チャイナとジオポリティクス(5)

「実は日本人の〇〇から、今日はひとつ発表がある、みんなに聞いて欲しい。」ターンテーブルを取り囲む中国人が、一斉に筆者に振り返った。事前の前振りゼロで、文字通り凍り付いた筆者は、「え?なんのことでしたっけ?」と高官に尋ねると、「いつも話して…

リアル・チャイナとジオポリティクス(4)

ボストンの冬はとにかく降雪量が多かった。ただ「除雪のインフラ」も素晴らしく、夜中に大量に降った雪も、早朝に除雪車が主要な道路を除雪してくれるため、通学時間には自転車で通うことができた。それでも氷点下10度前後の日の自転車通学は、悪夢のように…

リアル・チャイナとジオポリティクス(3)

ボストンの夏は緑で埋め尽くされ、太陽に照らされたレンガの建物とマッチして、言葉で表現できないほどの素晴らしい風景となる。ただしボストンの秋は短い。11月には雪が降り始め、12月には氷点下が当たり前になっていった。 筆者が滞在していた際のボストン…

リアル・チャイナとジオポリティクス(2)

まずいくつか自分自身が体験したエピソードをご紹介します。2012年8月、筆者はハーバードにて中国に関心を持つ学生(中国人、日本人、アメリカ人など)を集めた勉強会の企画を進めていた。自分以外に中国人の女性幹事を立てて、それなりに人数が集まりそうな…

リアル・チャイナとジオポリティクス(1)

純粋ドメスティックが考えるグローバル人材(6)

純粋ドメスティックが考えるグローバル人材(6)

「日本で忘れられた地政学という言葉」でご紹介した通り、欧米列強は、東インド会社など帝国主義の時代から、軍隊を動かすと同時に、資源権益や消費市場などの経済権益を確保し、それを本国に収益還元してきた長い歴史を有しており、必然的に「海外ビジネス…

純粋ドメスティックが考えるグローバル人材(5)

ここまでの話は海外で仕事をしていく上で不可欠な英語力(語学力)と、やや余談として筆者の中高時代の経験をネタにしたメンタル面の話をさせて頂いた。 ただもう少し野心的に捉えると、わざわざ「グローバル人材」と表現するところには、「ただの語学人材」…

純粋ドメスティックが考えるグローバル人材(4)

(4) 純粋ドメスティックな中高時代 ちょっとまじめなSpeaking、Writingの語学話が続いたので、少しくだけた話をしようと思う。ブログということで個人的な話になってしまい恐縮ながら、筆者は前述の通り、千葉の公立中学と県立高校を経験している。両校の校…

純粋ドメスティックが考えるグローバル人材(3)

(3) SpeakingをWritingで補うことを戦略とした場合、、、 このアイディアを戦略とする場合、どういった方法論が考えられるだろうか。前述のプレゼン前の入念な資料作成や、メールや添付ファイルでのきめ細かなフォローに加えて、更なるウェブサイトや、ソー…

純粋ドメスティックが考えるグローバル人材(2)

(2) SpeakingをWritingで補うことの優位性 前回の投稿では純ドメとして語学力を最大限生かす方法として、SpeakingをWritingで補う方法について、筆者自身の実体験をもとにご紹介した。 更に付け加えて申し上げると、Writingであれば数年の訓練で、平均的なネ…

純粋ドメスティックが考えるグローバル人材(1)

「グローバル人材」という言葉が日本で流行している。ネットで検索しても「グローバル人材とはなにか?」や、「大学や企業はどのようにグローバル人材を育成するか?」という記事が山のように出てくる。これまでの投稿をご覧頂いた方は薄々感じられていると…

セクシープロジェクトで差をつけろ

「セクシープロジェクトで差をつけろ」は、マッキンゼー出身の経営コンサルタントであるトム・ピーターズ氏の洋書「The Project 50 (Reinventing Work)」を翻訳家の仁平和夫氏が日本語訳した書籍である。10年以上前、大学生だった時分に同書を紀伊国屋で手に…

イノベーションは教育できるか?

以前の投稿「リーダーシップは教育できるか?」では、ハーバード(ケネディスクール)のリーダーシップ教育についてご紹介した。アメリカではリーダーシップ教育に加えて、イノベーション教育が盛んである。 ケネディスクールでは、マッキンゼー出身のリチャ…

アセアンシフトは妥当な判断か?

以前の投稿 「中国という魔法の言葉」では、ハーバードビジネススクールの授業で、「中国市場」がいかに特別に重視されているかをご紹介した。欧米メディア情報を見る限り、これはアメリカに限ったことではなく、欧米諸国共通のトレンドと感じる。 今年6月、…

三井物産筆頭常務 安川雄之助の生涯 (2)

安川雄之助は飛行機も電子メールもない明治、大正時代にも関わらず、インドの綿花輸入を振り出しに、米国ニューヨーク勤務、中国大陸での軽工業品の取り扱いや、ロシアでの重工業品の取り扱いなど、世界中を縦横無尽に活躍していく。 世界情勢を読み、商品相…

三井物産筆頭常務 安川雄之助の生涯 (1)

学生時代に就職活動で商社を志望した際に、きっかけとなった書籍がある。「三井物産筆頭常務 安川雄之助の生涯」と呼ばれる、明治から昭和にかけて三井物産で活躍した商社マンの自伝である。安川雄之助は明治22年(1889年)に三井物産入社し、当時の日本の主…

サウジアラビアの美人コンテスト

以前、中東の仕事をしていた際に、サウジアラビアに数週間滞在したことがある。 イスラム教国はどこでも何らかの宗教上の制約(女性のスカーフ着用など)があるものだが、サウジアラビアは中でも最も厳しい制約を国民に課している。酒は外国人であっても、一…